産業医の現場カルテ フォロー

「気分の落ち込みと頭痛」30歳女性が患う月1回の不調

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
 
 

 清水さん(仮名、30歳女性)は、従業員数約500人のアパレル企業で総務を担当しています。半年ほど前に転職してきたばかりですが、男性上司からのすすめもあって、この会社の産業医を務める私と面談しました。話を聞くと、女性特有の症状に悩まされていました。

転職してきた女性の悩み

 清水さんについては、男性上司から「時折、体調が悪いようだが、男性の私からどのように声をかければいいかわからない」と相談を受けていました。清水さんには、この会社に健康に関する相談窓口として産業医がいることを知ってもらう機会にもなると考え、私から面談に来てもらうよう声をかけました。

 清水さんは面談で「上司や周囲の同僚がいろいろと教えてくれるので、仕事はだいぶ覚えられました」と言います。今の環境や仕事に関しては問題ないようでした。

 しかし、月経が始まる数日前からすごく気分が落ち込むといいます。「ひどい頭痛もします。月経が始まって数日たつと気分が持ち直し、頭痛も軽くなり、そのうち治るのですが……」と話します。その間はなんとか体を会社に持って行っているような感じだそうです。この会社に転職す…

この記事は有料記事です。

残り1296文字(全文1776文字)

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。