高齢化時代の相続税対策

タワマン売り始めた?「アジア富裕層」に想定外の税金

広田龍介・税理士
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 近年、アジアの富裕者層を中心にした外国人投資家が、東京のタワーマンションや北海道のニセコなどのリゾート地、京都などの観光地にある不動産を購入するケースが目立っていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響だろうか、このところ、外国人投資家がこうした不動産を売却することに伴う税務上の相談が増えている。

 税務上の相談とは「源泉徴収制度」に関するものだ。

 外国人投資家など、日本に住んでいない「非居住者」が日本国内の不動産を売却する場合、その不動産の買い手は、購入代金のうち10.21%を非居住者の所得税(復興特別所得税を含む)として源泉徴収し、納税する義務がある。つまり、買い手から非居住者に支払うのは、それを差し引いた残りの89.79%だ。これが源泉徴収制度の仕組みだ。

 通常、不動産を売却すると、売却益が譲渡所得として所得税や法人税の課税対象になる。税務の相談に訪れる外国人投資家は、こうした利益に対する課税については十分承知しているが、源泉徴収制度については「初めて知った」という声を聞く。利益が出たかどうかに関わらず源泉徴収されることは「想定外」ととらえているようだ。

 この源泉徴収制度にはいったいどんな狙いがあるのだろうか。

 その目的は、非居住者の譲渡所得の申告漏れを防ぐことにある。

 外国人投資家が日本で事業を行うのであれば、その事業に関する届け出をして、収益について申告するはずだ。しかし、単に、日本の滞在用などのために不動産を買うだけなら、何も届け出をせず、結果として申告漏れになる恐れがある。そこで、税務署に代わって、不動産の買い手に税を徴収してもらおうというわけだ。

 この源泉…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。