経済記者「一線リポート」

「金融ビッグバン」第2幕 巨艦メガバンクの危機感

山口 敦雄・毎日新聞経済部記者
  • 文字
  • 印刷
社内向けの中期経営計画説明会で社員の質問を聞く三井住友FGの太田純社長=東京都千代田区で2020年7月13日、山口敦雄撮影
社内向けの中期経営計画説明会で社員の質問を聞く三井住友FGの太田純社長=東京都千代田区で2020年7月13日、山口敦雄撮影

 東京・丸の内の三井住友フィナンシャルグループ(FG)本社で7月半ばに開かれた社内向けの中期経営計画説明会。「ビル・ゲイツ氏が『銀行機能は必要だが、銀行は必要ない』と言ったのは十数年前です。これが現実化しようとしている」。2020年3月期の最終(当期)利益で三菱UFJFGを上回り、メガバンク首位に立った三井住友FGだが、オンライン参加を含む約1500人の社員に向かって太田純社長が訴えた言葉には、既存の金融ビジネスモデルに対する強い危機感が表れていた。

 国内の人口減少や長引く超低金利で、預金を集めて貸し出すという銀行のビジネスモデルの成長性は限界に近づいている。さらに銀行は、電子商取引(EC)や広告事業で稼ぎ、決済などの金融サービスを安く提供する楽天やソフトバンクグループといった異業種との競争にも直面している。

 決済や送金など、銀行が独占してきた既存ビジネスが脅かされる中、メガバンクはどう戦うのか。新たなビジネスの一つと位置づけるのが、銀行の保有する膨大な個人データを活用した「情報銀行」への参入だ。

 三井住友FGは、傘下の三井住友カードの決済データや現金自動受払機(ATM)での顧客の取引履歴などを活用した広告ビジネスへの参入を検討している。三井住友銀行のインターネットバンキングのサイトやアプリなどに、顧客の属性に合わせてさまざまな広告を表示する仕組みだ。三井住友FGの安地和之デジタル戦略部長は「ヤフーやグーグルは広告が本業であり、ターゲット層が幅広い。我々は例えば富裕層など、ターゲットを絞ることで差別化を図りたい」と意気込む。

 三菱UFJFG傘下の三菱UFJ信託銀行は21年3月か…

この記事は有料記事です。

残り1141文字(全文1841文字)

山口 敦雄

毎日新聞経済部記者

1974年生まれ。明治学院大法学部卒、同大大学院経営学修士。ビジネス誌「週刊エコノミスト」編集部記者、毎日新聞出版図書第二編集部編集長、毎日新聞学芸部記者を経て現職。著書に「楽天の研究」(毎日新聞社)がある。