
共働きの家計学(3)
共働き世帯が主流となり、夫婦共同で住宅ローンを組むケースが増えてきた。借入額を増やすことができ、2人とも住宅ローン控除を受けられるなどのメリットがあるが、そのぶんリスクも増す。注意点をみよう。
マンション高騰でも「買える」メリット
夫婦で住宅ローンを組む最大のメリットは借入額を増やせることだ。ローン審査で、夫の収入だけでは希望の借入額に届かなくても、妻の収入を上乗せすれば可能になることは多い。
例えば、ローン審査の条件を「金利3%、35年返済、返済負担率(年収に占める返済額)35%」とすると、年収500万円の夫1人では、借入限度額は約3800万円だが、妻の年収400万円を加えた世帯年収900万円でみると同約6800万円に増える。
近年、都市部では住宅価格の上昇が目立つ。首都圏の新築マンションの平均価格は2019年で5980万円と00年と比べ2000万円近くも上がった。それでも、若いファミリー層を中心にマイホームの購入意欲は強い。
それを支えるのが夫婦共同の住宅ローンだ。住宅営業の現場でも、住宅が売りやすくなるため、夫婦共同のローンを勧める傾向がある。
夫婦共同の住宅ローンには(1)ペアローン(2)連帯債務型(3)連帯保証型――の三つがある。
ペアローンは、一つの物件に夫婦がそれぞれローンを組む方法で、一般に、夫のローンには妻、妻のローンには夫がそれぞれ連帯保証人になる。2本立てのため、それぞれのローンの返済年数や金利タイプを柔軟に設定できるが、手数料も別々にかかる。多くの民間金融機関で扱うが、住宅金融支援機構の長期固定ローン「フラット35」では取り扱…
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渡辺精一
経済プレミア編集部
1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。