
西村さん(仮名、40代後半男性)はマンションデベロッパーの販売部門リーダーです。現在売り出している分譲マンションは人気があり、会社が特に力を入れている物件です。販売が始まってからはモデルルームが職場になり、西村さんと数人の社員、さらに派遣会社から来た受付係や販売アシスタントら計15人のチームで働いています。
スタッフが自主的にコロナ対策
モデルルームでの新型コロナウイルス対策は、フェースシールドの着用や、来場者の予約制など本社からの基本的な指示によるものだけでなく、スタッフ一人一人が自主的に休日の外食や外出を自粛するなど念入りに行っていました。
西村さんは気配りのできる上司で部下から慕われ、新型コロナに関してもクラスターを発生させないという目標を掲げ、モデルルームでは結束力あるチームができていました。
しかし、その中で社員のAさん(20代後半、男性)だけは、コロナ問題が発生する前から職場のコミュニケーションにわずらわしさを感じているようでした。西村さんが懇親会をやろうと部下を誘っても、彼だけは「強制ですか?」と言い参加を拒みました。打ち合わせのときなどでも、早く終わらせたいという態度があからさまに出ていました。
コロナが流行してからAさんのこうした態度はますます顕著になり、彼に不満を持つスタッフも出てきました。しかし西村さんは「彼に特に悪意はなく、何か規則に違反しているわけでもないので注意するのは難しい」と考え、Aさんに不満を持つスタッフの気分をなだめていました。
ある部員の勝手な行動に…
7月末のある日、Aさんから西村さんらスタッフ宛てに、「明日PCR検査を受けることに…
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