イマドキ若者観察

ファンとつながる「路上ライブ」コロナでどうなった?

藤田結子・明治大商学部教授
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東京の新宿駅西口で歌う男性。コロナ禍となる前まで路上ライブは日常の光景だった
東京の新宿駅西口で歌う男性。コロナ禍となる前まで路上ライブは日常の光景だった

 コロナ禍でオンラインコンサートの開催が増えています。この状況の中、街で生演奏をすることで成り立っていた路上ライブはどうなっているのでしょうか。今回は変化する路上ライブについて学生が取材・報告します。

 新宿駅東口の路上で平日夜に歌っていたJackさん(仮名、20代)は「ネットで1万回再生されるよりも路上に10人集まってくれる方がうれしい」と言います。

 コロナ禍以前、路上はアマチュアアーティストにとって重要な場所でした。というのも、2000年代以降、SNSの利用が広がり、多くのアマチュア歌手がYouTubeやInstagramに自分が演奏する姿をアップロードしはじめました。そんなネット時代だからこそ、若者がリアルに集まる場の価値が高まったようです。

 新宿駅南口の路上で平日・週末の夜に曲を披露していた佐藤さん(仮名、20代)は「(路上が)SNSでバズるための必須条件」だと言います。今は誰でも簡単にSNSで発信できます。路上で聴衆の前で歌うことは本格的なアーティストの証しであり、Youtuberなどと差別化できるのです。

 また、路上ライブをすると、ファンや通行人などの第三者がその様子を撮影してSNSにアップロードしてくれます。これが「バズる」ための重要な要素にもなっています。

 路上ライブには独特の構造があり、アーティスト以外にもファン・通行人、そして警官が交わる場です。あるファンは「“推し”の歌声の良さをもっと知ってほしい」と言います。ファンはただ応援するだけでなく、SNSでその魅力を宣伝するなどプロモーション係を担っている自負があります。

 一方、警察は道路交通法に基づき、路上ライブを…

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藤田結子

明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。