スルガ銀行 不正の構図

「スルガに借金4億円」カモにされた50歳男性の苦悩

今沢真・経済プレミア編集部
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「日本橋」の看板を背に、スルガ銀行に抗議する購入者=東京都中央区で9月2日午前8時、今沢真撮影
「日本橋」の看板を背に、スルガ銀行に抗議する購入者=東京都中央区で9月2日午前8時、今沢真撮影

 神奈川県内在住の会社員、Aさん(50)が最初にスルガ銀行の融資を受けて不動産を購入したのは2015年4月だった。縁のない新潟市内に建つ、4階建て築27年の中古アパート1棟を、3億円で購入した。自分で3000万円を工面し、残る2億7000万円をスルガ銀行東京支店で融資を受けた。金利は4.5%、30年返済だった。

 物件は賃貸している全20室が満室だという。紹介してきた仲介業者が手書きの収支見込みを見せ、「毎月20万円が手元に残ります」と説明した。いま考えると、大規模修繕の費用など収支を綿密に考える必要があった。だが、現地を見ないまま押し切られて決めてしまった。

 契約を終えて2週間後、仲介業者から「リフォーム代がかかる」と言われ、600万円の無担保ローンをスルガ銀行から借りさせられた。金利は7%。自分の預金口座に銀行から振り込まれた600万円は、右から左へ別の業者に渡った。銀行への返済額が月々6万円ほど増えた。

 新潟の物件を買ってから半年後、同じ仲介業者が「安定した家賃収入が見込める東京都内の新築物件がある」と勧めてきた。1億880万円のシェアハウスだった。「新潟の収益が落ちてもこれを持っていれば安心」との営業トークを覚えている。同じスルガ銀行の、今度は横浜東口支店で全額、融資を受けた。

 Aさんは、業者や銀行から明らかに“カモ”にされていた。その購入契約から2週間後、業者からまた「スルガ銀行の追加融資を受けてくれないか」と連絡があった。すでに借金は4億円近いのに、さらに1000万円の無担保ローンを借りてほしいという。

 金利は7.5%。その1000万円で、今度は熊本県内にある中古のワ…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。