良い物をより高く売る経営

「さようなら百貨店」そごう徳島閉店に見る地方の現実

中村智彦・神戸国際大学教授
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閉店したそごう徳島店=2020年8月31日、松山文音撮影
閉店したそごう徳島店=2020年8月31日、松山文音撮影

 地方百貨店の閉店が相次いでいる。8月末にはそごう徳島店(徳島市)、そごう西神店(神戸市)、西武大津店(大津市)、中合福島店(福島市)が閉店した。新型コロナウイルス感染拡大による経営悪化も一因とされるが、多くの店がそれ以前から閉店を決めていた。

 今年1月に地場百貨店「大沼」が倒産した山形県に続き、徳島県は全国で2番目の“百貨店空白県”となった。今回はそごう徳島店のケースから、百貨店と地方の街づくりの関係を考えたい。

 そごう徳島店は1983年、JR徳島駅前に開店し、当時は四国で最大規模の百貨店だった。しかし近年は集客に苦戦した。徳島市とその周辺には多くの大型ショッピングセンターができた。JR徳島駅から車で南東に10分ほどのところにイオンモール徳島、北に15分ほど行けばイオンタウン北島があり、さらにフジグラン北島、ゆめタウン徳島、ショッピングプラザタクトなどが市内外に点在する。

 徳島市のある中小企業経営者は、通勤も買い物も車がメインになって駅前に出ることが少なくなった、という。そのうえ「神戸と淡路、鳴門を結ぶ高速道路が全線開業した98年以降は、若者だけでなく主婦層も特別な買い物というと神戸に出かける」と話す。

 徳島から神戸方面に出るには…

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中村智彦

神戸国際大学教授

1964年、東京都生まれ。88年、上智大学文学部卒業。96年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。外資系航空会社、シンクタンクで勤務。大阪府立産業開発研究所、日本福祉大学経済学部助教授を経て、現職。専門は中小企業論と地域経済論。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトに数多く参画し、TBS系「坂上&指原のつぶれない店」にも出演。