産業医の現場カルテ

「シニア採用進めたい」スーパー人事部長の不安と対策

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 園田さん(仮名、50代男性)は、東京都内で複数の店舗を運営する従業員数約300人のスーパーの人事部長です。この会社は定年退職者を再雇用しており、先日もその件で相談を受けました(前回参照)。ただ、会社は人手不足が解消せず、今後は新規で高齢者も採用していく方針になりました。私は園田さんから「これまでの健康状態などがわからない人を新しく雇う場合、どうすればいいでしょうか」と聞かれました。

高齢者の労働災害が増加傾向

 健康寿命が延びる一方、労働生産人口が減少傾向にある中、60歳以上の高齢者を雇用する企業が増えています。特にサービス業や介護などの保健衛生業といった第3次産業で増加しています。

 年齢を重ねれば、少なからず健康に課題を抱える人は増えていきます。加齢による体力や筋力の低下、認知機能の低下が起こったり、さまざまな基礎疾患を発症したりします。症状は個人差が大きく出ます。会社は、個々の従業員の体力などに合わせて適正に配置する配慮が必要になります。

 厚生労働省は2020年3月に「エイジフレンドリーガイドライン」(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガ…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。