
近年、台風や豪雨、地震などの自然災害リスクが高まっている。自治体のハザードマップを確認したという人も多いだろう。ただし、防災への備えは、立地の特性や建物の状況によって対策が異なるなど、個別性が高い。自宅の災害リスクをみる際のポイントを考えよう。
避難ルートに「浸水地区」も
ハザードマップは、発生が予測される自然災害について、被害の範囲や程度、避難所などの情報を示した地図だ。被害が想定される地区に自宅があるなら、災害時に避難所に身を寄せることは想定しておこう。
そこで重要になるのが、避難所への移動ルートが安全かどうかだ。
さくら事務所は、ある女性社員をモニターとして、その自宅の災害リスクについて、立地の特性や建物の状況という面から調査したことがある。
洪水ハザードマップでは、社員の自宅は床上浸水2メートルの可能性があり、社員自身もそれを認識していた。自宅周辺には、AとBの二つの避難所があり、この社員は、災害時には自宅から近いほうの避難所Aに移動することを想定していた。
だが、そこに隠れたリスクがあった。周辺の状況をみると、自宅から避難所Aへのルートには、自宅より浸水想定の深い地区があった。水害の危険を感じて自宅を出たとしても、避難所にたどりつく途中で、すでに浸水している地区に入り込み、避難が難しくなる可能性がある。このため、水害時には、避難所Bに移動したほうがいいことがわかった。
木密地区は大被害の可能性
ただし、地震時には、避難所Bへのルートにもリスクがあることがわかった。途中で古い木造住宅が密集する地区を通ることになるためだ。
住宅の耐震基準は大地震のたびに建築基準法で…
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