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災害時「一番近い避難所」を目指す“隠れたリスク”

さくら事務所・個人向け不動産コンサルティング
避難所のみなと小が孤立し、ボートで救出される児童ら=福岡県大牟田市で2020年7月7日午前8時35分、金澤稔撮影
避難所のみなと小が孤立し、ボートで救出される児童ら=福岡県大牟田市で2020年7月7日午前8時35分、金澤稔撮影

 近年、台風や豪雨、地震などの自然災害リスクが高まっている。自治体のハザードマップを確認したという人も多いだろう。ただし、防災への備えは、立地の特性や建物の状況によって対策が異なるなど、個別性が高い。自宅の災害リスクをみる際のポイントを考えよう。

避難ルートに「浸水地区」も

 ハザードマップは、発生が予測される自然災害について、被害の範囲や程度、避難所などの情報を示した地図だ。被害が想定される地区に自宅があるなら、災害時に避難所に身を寄せることは想定しておこう。

 そこで重要になるのが、避難所への移動ルートが安全かどうかだ。

 さくら事務所は、ある女性社員をモニターとして、その自宅の災害リスクについて、立地の特性や建物の状況という面から調査したことがある。

 洪水ハザードマップでは、社員の自宅は床上浸水2メートルの可能性があり、社員自身もそれを認識していた。自宅周辺には、AとBの二つの避難所があり、この社員は、災害時には自宅から近いほうの避難所Aに移動することを想定していた。

 だが、そこに隠れたリスクがあった。周辺の状況をみると、自宅から避難所Aへのルートには、自宅より浸水想定の深い地区があった。水害の危険を感じて自宅を出たとしても、避難所にたどりつく途中で、すでに浸水している地区に入り込み、避難が難しくなる可能性がある。このため、水害時には、避難所Bに移動したほうがいいことがわかった。

木密地区は大被害の可能性

 ただし、地震時には、避難所Bへのルートにもリスクがあることがわかった。途中で古い木造住宅が密集する地区を通ることになるためだ。

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個人向け不動産コンサルティング

業界初の個人向け総合不動産コンサルティングサービス会社として1999年設立。本社は東京都渋谷区。住まいの「かかりつけのお医者さん」である住宅診断(ホームインスペクション)のパイオニアで、5万件超と国内トップの実績。マンション管理組合向けコンサルティング、不動産購入に関するアドバイスなども広く提供している。