海外特派員リポート

中国でガンダムなど「コピー商品」が高度化する理由

赤間清広・毎日新聞経済部記者
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中国でもトミカやプラレールの売り場は常に子供でいっぱいだ=北京市内で2020年8月16日、赤間清広撮影
中国でもトミカやプラレールの売り場は常に子供でいっぱいだ=北京市内で2020年8月16日、赤間清広撮影

 冒頭からクイズを一つ。

 「高達」「奥徳曼」「普楽路路」「莉卡」

 いずれも中国のおもちゃ売り場でよく見かける日本の人気商品の中国語名だ。何のことか分かるだろうか。

 正解は「ガンダム」「ウルトラマン」「プラレール」「リカちゃん」だ。

 日本のアニメやおもちゃは相変わらず中国でも人気が高い。半面、その人気に目をつけた違法なコピー商品も後を絶たない。しかも、その手口は年々、悪質、巧妙化している。

 2019年8月、上海市当局は大規模なコピー商品業者を摘発した。ガンダム、ドラゴンボールなど日本の人気キャラクターを中心に100種類以上の商品を偽造し、2000万元(約3.1億円)以上を荒稼ぎしていたという。

 この業者が中国で注目を集めたのは「全プロセス型」と呼ばれる大規模なコピー組織を構築していた点にある。

 おもちゃなどを偽造するには、まず商品の精巧な金型を作る必要がある。その金型を使って製品を大量生産し、国内外に運搬。本物より安い価格で売り出すことで違法な利益を得る。通常は各工程を別々の業者が請け負っているが、上海のケースは金型製造から販売までをすべて1社で手がけていた。

 文字通り「全プロセス型」で、新たなコピー商品を次々と量産する仕組みができあがっていたことになる。

 「全プロセス型」業者の摘発は中国でもほとんど例がなく、被害が大きかった日本のバンダイは上海市当局に「ガンダムアストレイ レッドフレーム改」の高さ20センチのフィギュアを贈り、感謝を伝えたほどだ。

 中国政府は国内製造業の高度化に力を入れ、ハイテクで米国と覇権を争うほどの実力を身につけた。しかし、製造業の成長はコピー商品業者の技術革新という皮肉な…

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赤間清広

毎日新聞経済部記者

 1974年、仙台市生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。霞が関や日銀、民間企業などを担当し、16年4月から中国総局(北京)。20年秋に帰国後は財務省を担当しながら、面白い経済ニュースを発掘中。