
ホンダeの実力(2)
ホンダが10月30日に発売する初の電気自動車(EV)「ホンダe」はコンパクトで、近距離の通勤や買い物には便利だという。では休日に家族で郊外の温泉に出かけるようなドライブはできるのだろうか。
筆者は昨年5~6月、同年1月に発売したばかりの「日産リーフe+」で東京都心から高速道路を使い、神奈川県と静岡県にまたがる箱根を往復するドライブを試み、詳しくリポートした(「最新日産リーフ「東京-箱根往復」意外な電池残量」参照)。
東京・竹橋の毎日新聞社を満充電のリーフe+で出発。首都高と東名高速を走り、神奈川県小田原市から箱根ターンパンクを山頂まで上った。そこから芦ノ湖スカイラインなどを走り、静岡県御殿場市から再び高速道路で帰京した。
合計約227キロ走り、リーフe+の62キロワット時の電池を34キロワット時消費した。e+なら途中で充電することなく、箱根往復のドライブが可能だった。
ホンダeはどうか。ホンダeの電池は35.5キロワット時、航続距離は283キロだ。1キロワット時当たり、どれだけ走るかをカタログ燃費で計算すると、リーフe+が7.38キロ、ホンダeは7.97キロとほぼ互角だ。もちろんリーフと単純比較はできないものの、ホンダeで東京都心から箱根往復のドライブなど1回の満充電では無理だろう。ホンダ自身も「厳しい」と認める。
「郊外へは公共交通機関などで」
ホンダeの開発責任者、一瀬智史さんは「市街地から郊外への長距離移動は公共交通機関やハイブリッド車などに任せることによって、街中でより使いやすいものになると考えた」と説明する。
つまりホンダeは近距離専用で、休…
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川口雅浩
毎日新聞経済プレミア編集長
1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部