経済記者「一線リポート」

デジタル庁構想の裏に…霞が関のお粗末な職場環境

村尾哲・毎日新聞経済部記者
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デジタル改革関係閣僚会議で発言する菅義偉首相(左)。右は平井卓也デジタル改革担当相=首相官邸で2020年9月23日、竹内幹撮影
デジタル改革関係閣僚会議で発言する菅義偉首相(左)。右は平井卓也デジタル改革担当相=首相官邸で2020年9月23日、竹内幹撮影

 この夏、ある調査結果が永田町、霞が関で静かな話題となった。働き方に関するコンサルティング業務を手がけるワーク・ライフバランス(東京都港区)が8月3日に公表した「コロナ禍における政府・省庁の働き方に関する実態調査」。新型コロナウイルスの感染が拡大した3~5月にデジタル化・リモート化を巡ってどのような環境変化が起きたか、20~50代の官僚480人にインターネット調査したものだ。菅義偉内閣が目玉政策として「デジタル庁」構想を掲げる裏には、過酷な議員対応や省庁のお粗末なデジタル基盤など、旧態依然とした官僚の働き方が横たわっている。

 「緊急事態宣言中は基本テレワークだったが、国会議員のレク(説明)のためだけに出勤せざるを得ない状況だった」(内閣府40代)

 「(議員)会館の事務所に複数省庁・複数部署が(説明に)行かざるを得なくなり、順番に行うため事務所の前で密の状態で何十分も立ったまま待たされる」(文部科学省20代)

 「(国会質問の)時間内に聞ききれない量の質問を通告してこないで。部下も鬱になったし私ももう来たくない」(厚生労働省30代)

 選挙で選ばれ民意を代表する国会議員への説明業務は官僚にとって大事な仕事の一つだが、「政治が上」という絶対的な関係の中で、非効率なやり方が当然視されてきたのが実態だ。調査結果によると、8割が「議員への説明は対面のままだった」と回答。「議員とのやりとりで官僚の働き方に配慮を感じた」のは1割弱にとどまったという。

 国会開会中だと、議員会館の廊下に何人もの官僚が立ちっぱなしで待たされている姿をよく見かける。翌日の国会質疑を議員側と事前にすりあわせるためだ。議員の質問通告が不明瞭で、詳細を聞き出す「問取り」を行うことも多い。パソコンだとタッチ音がするため、メモは…

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村尾哲

毎日新聞経済部記者

1983年東京生まれ。上智大卒業後、2008年毎日新聞社入社。福岡報道部、鹿児島支局を経て、13年4月から東京本社政治部で官邸、防衛省、自民党などを担当。20年4月から東京本社経済部で財務省や内閣府を担当している。