経済プレミア・トピックス

「訪日客減少とテレワーク浸透」地価下落は進むのか

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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基準地価が15年連続で全国最高となった明治屋銀座ビル(中央)もコロナの影響を受けた=東京都中央区で2020年9月29日、丸山博撮影
基準地価が15年連続で全国最高となった明治屋銀座ビル(中央)もコロナの影響を受けた=東京都中央区で2020年9月29日、丸山博撮影

 国土交通省が9月30日発表した今年の基準地価(注)の最大のニュースは、新型コロナウイルスの影響が全国の地価に及んだことだ。

 皮肉なことに、昨年まで訪日外国人旅行者によるホテル需要や景気回復に伴うオフィス需要が高く、地価が上昇していた3大都市圏ほど、地方圏に比べ地価の下落幅が大きかった。逆にこれまで地価が下落もしくは停滞していた地方圏は変動が少なく、新型コロナにもかかわらず地価が上昇する都市もあった。

「日本一」の東京・銀座も下落

 全国平均で見た場合、商業地は2016年以来上昇が続いていたが、今年は5年ぶりに下落し、変動率は前年比マイナス0.3%となった。住宅地は1992年以来29年連続で下落し、マイナス幅がリーマン・ショック以来11年ぶりに拡大した。このため全用途平均は17年以来、3年ぶりに下落に転じた。

 象徴的なのは、毎年全国の最高価格地点となる東京都中央区銀座2の「明治屋銀座ビル」だ。今年も15年連続で「日本一」を維持したが、1平方メートル当たり4100万円となり、前年比5.1%下落した。

 マイナスとなるのは東日本大震災が起きた11年以来9年ぶり。「訪日外国人旅行者が激減して高級店舗の売り上げが減少し、地価の下落につながった」(国交省)という。

 新型コロナの影響は3大都市圏と地方圏で温度差が見られた。3大都市圏の住宅地はこれまで上昇が続いていたが、不動産の取引が低迷し、いずれも下落に転じた。商業地は東京圏と大阪圏が上昇を維持したが、名古屋圏は8年ぶりに下落した。

 名古屋圏は自動車など製造業の割合が高い。新型コロナで生産が減り、今後の先行きも不透明になったことで、オフィスや…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部