経済記者「一線リポート」

「あつ森」人気で絶好調の任天堂“なぜか弱気”な理由

杉山雄飛・毎日新聞大阪経済部記者
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2020年4~6月期に世界で1063万本を販売した「あつまれ どうぶつの森」の画面=任天堂提供
2020年4~6月期に世界で1063万本を販売した「あつまれ どうぶつの森」の画面=任天堂提供

 新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要を捉え、ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」(通称あつ森)がブームになり存在感を高めている任天堂。人気ソフトに連動してゲーム機の販売も増え直近の四半期決算は絶好調だが、通期の業績は減収減益を予想するなど慎重だ。ライバル社との年末商戦、後継機の開発、目まぐるしく移り変わる業界事情――。絶好調な任天堂が弱気な理由は?

 「誰でも直感的に楽しめる『独自の遊び』で顧客を笑顔にする。これは任天堂の普遍的なDNAだ」

 9月16日に開かれたオンライン会見で、古川俊太郎社長はこう強調した。2020年4~6月期に世界で1063万本を販売したあつ森は、プレーヤーの分身が無人島に移住し、虫を捕ったり、魚釣りをしたりしてスローライフを楽しむゲーム。他のプレーヤーと交流することもでき、新規顧客として女性や幅広い年齢層を取り込んだ。

 あつ森をするのに必要なゲーム機「ニンテンドースイッチ」は前年同期の2.7倍の568万台を販売。スイッチ向け自社ソフトで歴代2位の販売数となったあつ森人気で、古川社長は「7、8月の夏商戦でもスイッチの販売の勢いは継続している」と手応えを語った。

 会社の業績も20年4~6月期は連結売上高が前年同期の2.1倍の3581億円。最終(当期)利益は6.4倍の1064億円と増え、過去最高だった08年同期の1072億円に次ぐ水準だ。にもかかわらず、21年3月期通期の業績見通しで、任天堂は売上高を前期比8.3%減の1兆2000億円、最終利益を22.7%減の2000億円と見込む。慎重な業績予想について、同社広報は「年末商戦の見通しが立たない」と説明している。

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杉山雄飛

毎日新聞大阪経済部記者

 1990年、静岡県沼津市生まれ。早稲田大文化構想学部卒。2013年毎日新聞社入社。山口支局と横浜支局で主に事件取材を担当。19年から大阪本社経済部で関西電力の金品受領問題を取材し、現在は関西のメーカーや金融業界をカバーしている。