
鈴木さん(仮名、女性30代前半)は、ある化粧品メーカーで接客の仕事をしています。現在は、新しいコンセプトで立ち上げた期待の新店舗で働いています。店長のAさん(女性30代後半)は、主要店舗の売り上げを大きく伸ばし、何度も社内表彰された販売員“憧れ”の存在で、新店舗の10人ほどの接客担当も、店長らが面接して選抜したメンバーです。
店長に異を唱えることができず…
新店舗のメンバーは、カリスマ性のあるAさんの一語一句に共感するような雰囲気で、店長に選ばれたという自負もあり、うまくまとまっていました。
しかし、鈴木さんは、店の雰囲気に時々“違和感”を感じることがあったそうです。特に会議は、Aさんが自分の案を話し、みなはその案に賛同し、それがいかに素晴らしいかという賛辞を述べ合う場になっていました。Aさんも、自分の案に全員が賛同することを前提で話している感じで、メンバーに他の案を聞くことはありませんでした。
ただ、メンバーは、Aさんのやり方に不満を持っている様子はないようです。Aさんがいないところでメンバーと話しても「店長はさすがね」という類いの会話しかありませんでした。そのため、鈴木さんは、Aさんの案に時に検討の余地があると思っても、会議の場では異論を唱えることはできませんでした。
ある日の会議で、Aさんは、新作化粧品の販売プロモーションで大人数を動員するイベントの企画を提案し、各自準備に取りかかるよう指示しました。メンバーはいつも通り賛同しながらも少し不安を感じているように、鈴木さんには見えました。イベントは大人数を動員するので、新型コロナウイルスのクラスターが発生しないかという不…
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