ニッポン金融ウラの裏

不正な資金流出相次ぐ「ゆうちょ銀行」危機意識の鈍さ

浪川攻・金融ジャーナリスト
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不正引き出し問題で記者会見するゆうちょ銀行の池田憲人社長(右)=東京都千代田区で2020年9月24日、手塚耕一郎撮影
不正引き出し問題で記者会見するゆうちょ銀行の池田憲人社長(右)=東京都千代田区で2020年9月24日、手塚耕一郎撮影

 銀行の預貯金の不正引き出し事件が金融界を揺るがしている。ドコモ口座、ペイペイなど電子決済サービスとつながる預金口座から、本人確認、認証などセキュリティー上の脆弱(ぜいじゃく)性を突いて不正にお金を引き出す犯罪である。

 標的になったのは地方銀行、イオン銀行、ゆうちょ銀行などだが、とくにゆうちょ銀行の口座に被害が集中している。ゆうちょ銀行が属する日本郵政グループでは、かんぽ生命、日本郵便による悪質な保険販売が昨年来、問題となってきた。日本郵政グループにとってはまさに「泣きっ面に蜂」の様相だ。

犯罪グループには「格好の標的」

 電子決済サービスとつながる口座でお金を不正に引き出される事件は、NTTドコモの「ドコモ口座」で明るみに出た。その後、ゆうちょ銀行では、ペイペイ、LINEペイ、ペイパルなどの電子決済サービスでも被害が確認された。ゆうちょ銀行は12の電子決済サービスと提携しているが、このうち、6のサービスで被害が出たことがわかっている。

 しかも、ゆうちょ銀行の関連する被害はそれで終わらなかった。同行が発行するデビット・プリペイドカード「mijica(ミヂカ)」の送金機能が悪用され、貯金が不正に引き出されていたことも露呈した。

 ある大手銀行の電子決済サービス部門の担当者は、預貯金引き出し事件の手口を次のように分析する。

 「デジタル技術を悪用する犯罪グループは、インターネットを介してあらゆる金融機関に攻撃を試みている。そのうえでセキュリティーが弱い金融機関を特定して犯行に及んでいる」

 この説明の通りだとすれば、ゆうちょ銀行は犯罪グループの格好の標的に選ばれてしまったことになる。

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。