地域で光る小さな会社

金沢の「ひと晩眠れる」寝具店が人気を集める理由

櫻田弘文・クエストリー代表取締役
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「ひと晩眠れる」半地下のベッドルーム=筆者提供
「ひと晩眠れる」半地下のベッドルーム=筆者提供

 金沢市は、加賀百万石の城下町の文化が今に残る北陸を代表する観光地だ。2015年の北陸新幹線の開業以降、多くの観光客でにぎわっている。この金沢に、上質な睡眠を求めて多くの人が足を運ぶ店がある。JR金沢駅から南へ車で30分ほどの場所にある寝具店・石田屋が15年にオープンした旗艦店「gamadan(ガマダン)」だ。

寝心地を体感

 ガマダンは、寝具売り場と宿泊体験型ショップ、ギャラリー、発酵食ダイニングを併設する、地上2階・地下1階の店舗だ。石田屋社長の田中佳美さん(60)は「建物、庭、音響、飲食など未体験の心地よさを五感で感じてもらう場です」と話す。

 2階の寝具売り場は、睡眠のプロである同社従業員の指南で、マットレスや枕などの寝心地を試せる。1階は小物や布地のフロアで、ギフト需要も多い。寝室の配色と素材は睡眠の質を左右する。インテリアコーディネートや簡易リフォームの相談も受けている。

 地下1階は宿泊体験型ショップだ。半地下のベッドルームで、睡眠の質と目覚めの良さにとことんこだわったつくりだ。テラスにある広い開口部は、ベッドに降り注ぐ光の角度を計算して設計されている。浴室には石川県の伝統工芸品「輪島塗」の浴槽があり、入浴による体温の上下が睡眠に与える影響を実感できる。

 1日1組限定だが宿泊料金は設けず、ダイニングでの朝夕の食事代とシーツなどのクリーニング代を支払ってもらう。新型コロナウイルス禍の現在は、県外からの客を含めて平均で週に1組が…

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櫻田弘文

クエストリー代表取締役

1955年山梨県生まれ。日本大学卒業後、78年に販売促進の企画・制作会社に入社。2001年、クエストリーを設立して独立。中小企業経営者向けの「クエストリー・ブランディングクラブ」を主宰する他、数多くの専門店や飲食店のブランディングを実践的に指導している。