メディア万華鏡

そろそろ惨めな「男らしさ」やめにしませんか

山田道子・元サンデー毎日編集長
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「男なんだから」と、いろいろ押し付けられるのは男性もたいへんだ
「男なんだから」と、いろいろ押し付けられるのは男性もたいへんだ

 「女性差別をなくすことは、男性にとっても暮らしやすい、働きやすい社会にすることなんです」

 長崎県にある大学で「女性とキャリア」をテーマに話をする機会に恵まれた。男女雇用機会均等法が成立した1985年に毎日新聞社に入社し、間もなく「定年女子」となる来し方を振り返りつつ、性暴力撲滅の「#MeToo」運動など最近のフェミニズムの動きを説明した。

 冒頭の言葉に続けて、「男性だって大変でしょう。男なんだからちゃんとした職業について家族を養わないと、とか押し付けられて」と言ったら、かなり前列に座っていた男子学生がコクンと小さくうなずいた。

 「#MeToo」運動の広がりと呼応するように「男らしさ」を問う本が続いた。アメリカのジャーナリストのレイチェル・ギーザさんの「ボーイズ 男の子はなぜ『男らしく』育つのか」(DU BOOKS)。男らしさについて構築された有害な概念が、男の子たちにも非常に大きな害、例えばいじめ、非行、危険な性行為などに走るといった影響を及ぼしているとして、男の子たちがジェンダー規範に立ち向かうことを応援しようと、説いた。

 「男らしさの終焉(しゅうえん)」(フィルムアート社)の著者グレイソン・ペリーさんは現代アーティストで作家、ロンドン芸術大総長。社会の変化に適応せず、昔ながらの「男性性」に疑問を持たない「オールドスクールマン」(古い価値観の人)に、他者と共存するため「傷ついていい権利」「弱くなる権利」「わからないと言える権利」「柔軟でいる権利」を掲げ、「男性性を下ろせ」と諭す。

 ペリーさんは、上位の階層を占め自分の価値観を攻撃的に他人に押し付ける「白人・ミドルクラス・ヘテロセクシュアル」の男たち…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。