
A子さん(52)は、従業員数約800人の衣料メーカーの人事部長です。会社は新型コロナウイルスの感染拡大で、今年3月からテレワーク(在宅勤務)を試験的に始め、現在も週1~2日、在宅勤務をする従業員が多数います。会議や打ち合わせをオンラインですることも増えていますが、A子さんはそのあり方について悩んでいます。
出張は減ったが……
会社は全国に支社や工場がありますが、人事部の拠点は本社にしかありません。これまでA子さんは、就業規則や人事評価制度の変更などをする場合、事前に現場の責任者にヒアリングをしたり、支社や工場に出張して説明会をしたりするなど、出張の機会が多くありました。
しかし新型コロナの感染拡大以降は、出張を必要最小限にとどめており、A子さんを含めた従業員の本社と支社や工場との行き来が大幅に減っています。通常は本社で行っていた会議もオンラインで行っています。
A子さんは出張がほぼなくなって、移動に伴う疲れを抱えることが減り、体が楽になったと感じています。一方、支社や工場とオンラインでつながるようになり、必要以上にオンラインの会議や打ち合わせへの出席を求められるケースが増えています。
本来の業務ができない
A子さんの担当業務には、自分の部下の育成や指導と、他部署からの人事に関する相談への…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/