ニッポン金融ウラの裏

コロナ禍の「家賃値上げ」都心でうごめく再開発の影

浪川攻・金融ジャーナリスト
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東京都中央区銀座2丁目で2020年9月29日、丸山博撮影
東京都中央区銀座2丁目で2020年9月29日、丸山博撮影

 都心の繁華街で不動産がらみの微妙な動きが出始めている。ビルのオーナーによるテナントへの家賃や更新料の値上げ通告だ。新型コロナウイルス感染問題が解決せず、どの飲食業者も売り上げの大幅減少で悪戦苦闘している。そのさなか、通告を受けた業者には死活問題としてのしかかっている。

 東京都中央区の繁華街で洋食店を営む店主のもとに、ビルのオーナーがやってきたのは1カ月ほど前のことだ。用件を尋ねると、「まもなく契約の更新時期だが、賃料、更新料とも20%値上げする」という内容だった。店主は一瞬、自分の耳を疑ったという。

 「新型コロナで売り上げが激減し、家賃の負担は大きい。政府が導入した『家賃支援給付金』の利用を申請しており、給付されればひと安心と思っていたばかりで、信じられなかった」

 店主はいまも理解できないといった顔つきでいる。

 新型コロナ問題が発生して以後、深刻な打撃を受けてきたことがメディアでしばしば報じられている東京・銀座の飲食街でも同様のことが起きている。

 「家主から賃料値上げを通告され、それをきっかけに店の継続を断念した。同じフロアでも閉店した同業者が出始めた」とスナックの経営者は激しく憤っている。なんとか苦境をしのいできた事業者にとって、これは“泣きっ面に蜂”どころの出来事ではない。

 一方、ビルのオーナーの立場からは、何が家賃値上げの動機になっているのだろうか。新型コロナ問題が解決する見通しが一向に立たない中で、テナント事業者たちの商売が回復する期待が持てず、ビル経営の収支が悪化する懸念を抱かざるを得ない。ところがその状況でも、都心の不動産の固定資産税は重く、その負担が軽減される見…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。