
被害弁護団の山口広団長インタビュー(1)
シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐる不正融資が2年半前に発覚したスルガ銀行。購入者に対しシェアハウスの借金を「帳消し」する解決策で合意したが、その後もアパート、マンションといった投資用不動産向けの融資をめぐる問題が浮上している。購入者の代理人として活動してきた「被害弁護団」の団長を務める山口広弁護士(71)に現状を3回に分けて聞いた。【聞き手、経済プレミア編集部・今沢真】
――シェアハウスの不正融資問題では3月に、スルガ銀行が「借金帳消し」を受け入れ、弁護団の主張が全面的に認められました。その原動力は何だったのでしょうか。
◆山口広弁護士 スルガ銀行がやったことがあまりにも悪質だったことが一番の理由です。シェアハウスの販売を仲介した不動産会社も悪質でしたが、弁護団はその責任追及をいったん置いて業者からの事情聴取を優先しました。
すると、スルガ銀行の行員が、融資審査資料の偽造や改ざんを指示したり関与したりした証拠が次々と集まりました。「銀行がそこまでひどいことを」とメディアが報道し、スルガ銀行や監督官庁の金融庁も「何とかしなくては」と危機感を持ったと思います。
予想を超えた「被害者の団結」
――シェアハウスの購入者が「被害者同盟」という組織を作りました。
◆被害者の皆さんの団結は予想を上回りました。最初は、皆さんサラリーマンでそれぞれ事情を抱えているし、個別にやっていくしかない大変な案件だと思っていました。ところが、億単位の借金を抱え、立場を同じくする二百数十人がインターネットを通じて密接に結びつき、弁護団とも連携できました。
彼…
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今沢真
経済プレミア編集部
1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。