高齢化時代の相続税対策

「あげて節税もらって笑顔」贈与は相続対策の“王道”

広田龍介・税理士
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 相続税対策の王道は、何といっても生前贈与だ。課税対象となる財産を直接減らすことができるうえ、もらった人には喜んでもらえる。まさに一石二鳥というわけだ。

 贈与は、1年間の贈与額が基礎控除110万円以下なら贈与税がかからない。これを「暦年贈与」という。仮に相続税率30%の場合、相続財産110万円分の税額は33万円になるため、それだけ節税ができることになる。贈与される人(受贈者)が多いほど効果は大きくなる。

 また、子や孫に住宅資金や教育費、結婚・子育て資金を贈る場合は、一定金額まで非課税にできる特例がある。これを利用して、老後生活に必要な資金以外は子や孫の必要に合わせて贈与している親や祖父母も多い。

 贈与する財産は、なにも現預金でなくてもいい。

 会社経営者のNさん(68)は、会社の株式を後継者となる長男家族4人に毎年贈与している。

 会社の業績が良く株価が高いことから、他の資産を合わせたNさんの財産はかなりの額にのぼる。相続税率は50%に達する見通しだ。

 そこで1人当たり約500万円分の株式を毎年贈与し、1人当たり約50万円の贈与税を納めてもらっている。贈与税の実効税率は10%だから、相続税40%の節税だ。これを続けることで毎年相続税800万円が減っていくことになる。「ちりも積もれば」の効果はかなりのものだ。

 一方、同じく会社経営者のYさん(70)は、会社に対する貸付債権を妻と子3人と孫4人の計8人に毎年贈与している。

 会社の資金繰りのため、Yさんからの会社に対する貸付金はかなり膨らんでいる。だが、この時期をなんとか乗り切れば経営は必ず改善できるとYさんはみている。また、会社が所有す…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。