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京成・東急・京王に見るコロナ禍の鉄道“暗中模索”

土屋武之・鉄道ライター
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千葉ニュータウン中央駅に到着する京成の臨時ライナー=筆者提供
千葉ニュータウン中央駅に到着する京成の臨時ライナー=筆者提供

 新型コロナウイルス感染症の流行により、鉄道会社は在宅ワークや時差通勤で電車内の「密」を避けることを呼びかけている。だが、列車の増発などで設備投資を続けてきた路線は痛手も大きい。コロナ禍で旅行が控えられ、在宅ワークが定着すれば、利用客の減少で列車の“リストラ”は避けられない。

 首都圏の鉄道各社に広まっている「着席保証列車」も見直しの対象だろう。朝夕のラッシュ時間帯に「必ず座れる」ことで人気を得たが、一般の列車でも比較的、楽に座れる状況が生じ、”着席保証”の価値が大きく下がってしまった。

 そんな中、京成電鉄が10月1日から、平日の朝1本限定で着席保証列車「臨時ライナー」(印旛日本医大―京成上野)の運転を始めた。停車駅の一つ、千葉ニュータウン中央駅でこの列車を実際に見たが、前後の一般列車が十分に着席できそうな混雑度だったためか、案の定、利用客は多くなかった。

 京成は、成田空港と京成上野を結ぶ「スカイライナー」で現在も4割の運休を余儀なくされるなど、大きな打撃を受けている。2019年10月26日のダイヤ改正ではスカイライナーの大増発(終日20分間隔で運転)を実施し、8両編成1本を新たに投入したばかりだった。そこを世界的なコロナ禍と海外渡航制限が襲った。

 一方、「臨時ライナー」は、スカイライナーの“回送列車”を活用する形なので、新たな設備投資は発生していない。運転期間も「当面の間」とされ、いわばお試し期間中だ。世の中の動きを見定める猶予を設けつつ、短期的には収益を少しでも確保したいという思惑が見てとれる。大増発時の投資を回収しなければならないのだ。

 こうした傾向は他の鉄道会社でも見られ…

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土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。