
アパート・マンション融資の“闇”(6)
東京都内に住む会社員Cさん(39)は、30代前半で不動産投資に興味を持った。今から8年前のこと。不動産業者が主催する投資セミナーに参加してみた。そこで知り合った業者から墨田区の新築アパート1棟、約1億円の物件の購入を勧められた。スルガ銀行横浜東口支店が融資を担当するという。
時は2012年春。民主党政権下で、日経平均株価は1万円前後だった。安倍晋三政権が発足するのはその年の12月。「アベノミクス」という言葉が広がったのは翌年のことだ。
墨田区のアパートは月66万円の家賃収入があり、融資の返済分を引いて毎月11万円が手元に残る。それで税金や経費を賄えると説明された。「都心の物件で需要は強いはず。借金は大きいが、やっていけるだろう」とCさんは感じた。「投資をしてみたかった。銀行の審査ではねられると思ったが、申し込んでみたら通ってしまい、逆に驚いた」と振り返る。
シェアハウス解決後も「借金9000万円」
Cさんはその後、不動産投資にはまる。2年後に、同じ横浜東口支店の融資を受け、同じ業者に紹介されたシェアハウス「かぼちゃの馬車」2棟を立て続けに購入した。2棟合わせて2億5000万円。墨田区の物件と合わせて3物件で借金は3億5000万円になった。
だが、「かぼちゃの馬車」運営会社の破綻ですべてが暗転した。シェアハウス2棟の家賃収入が途絶。購入者で作った「被害者同盟」に加わった。墨田区のアパートを含め、スルガ銀行への返済を停止し、弁護団を通じて銀行と交渉した。今年3月、シェアハウスの借金でようやく「帳消し」を勝ち取った。
墨田区のアパートは今…
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