高齢化時代の相続税対策

税理士は見た「税務調査」が故人の妻を追い詰めるとき

広田龍介・税理士
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 家族を亡くしたとき、その悲しみとともに直面しなければならないのが相続手続きだ。だが、その申告を済まし、かなりたった後に、税務署から連絡が入ることがある。税務調査だ。

 相続税の税務調査は、相続財産に申告漏れがあったかどうかを調査するものだ。

 税のプロである税務調査官は、事業で得る収入や、土地や株式の売却などによって、どのくらいの資産が形成されるかを統計的に把握している。

 例えば、一口に資産家といっても、先祖代々の富豪と一代で財を成した資産家とでは、所有する財産の中身が違う。前者は不動産、後者は金融資産がメイン。簡単に言えば、地主と金持ちの違いだ。

 このため、財産の運用手段にも違いがある。ただ、最近は、土地を処分して多額の現金を手にするケースも多い。金融資産になれば、自由に動かせるぶん、使い方も派手になる。

 税務調査官はこうしたことを熟知しており「この人であればこれぐらいの資産を持っている」という見通しを持っている。

 さらに、さまざまな資料を収集し、その結果、申告が過少だと疑われる場合に、自宅を訪れ、相続人に聞き取り調査を行う。これが税務調査の流れだ。

 税務調査は、相続税申告からおおむね1年後。通常は2人組のチームでやってくる。被相続人(亡くなった人)が夫の場合、生活をともにしていた妻と、相続税申告を担当した税理士が受け答えするパターンが多い。妻が質問に答えられないような不安がある場合、子が「助っ人役」として同席することもある。聞き取り調査は、だいたい午前10時から午後4時ごろまで、ほぼ一日がかりだ。

 調査が注目するのは、被相続人の現預金の動きだ。それには、被相続人の性格や生い立…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。