スルガ銀行 不正の構図

「年収の20倍の借金」40代会社員“銀行との9年間”

今沢真・経済プレミア編集部
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スルガ銀行の行員からDさんに送られてきた書類2枚。左が“抱き合わせ”で購入を求めてきた2物件で、右はシェアハウスの書類。シェアハウスは土地購入と建築資金の2項目に分けて記載してある。※画像の一部を加工しています
スルガ銀行の行員からDさんに送られてきた書類2枚。左が“抱き合わせ”で購入を求めてきた2物件で、右はシェアハウスの書類。シェアハウスは土地購入と建築資金の2項目に分けて記載してある。※画像の一部を加工しています

アパート・マンション融資の“闇”(7)

 東京の西部に住む40代の会社員、Dさんが初めてスルガ銀行から融資を受けたのは2011年だった。勤務先の上司が不動産投資をしており、仲介業者を紹介された。「老後を考えると不労所得が必要。損はないです」との営業トークに誘われ、東京23区内の築数年のワンルームマンション1室を3500万円で購入した。金利3.6%で35年返済。スルガ銀行の東京支店から全額融資を受けた。

 Dさんにはまとまった資産はなかった。融資を受ける際、なぜか業者自身が1000万円を用意してDさんの他行の預金口座に入金し、すぐに引き出した。どうしてそんなことをするのか当時はわからなかった。いま振り返ると、銀行の融資審査を通すための“見せ金”だったのかと思う。

シェアハウスとマンションの計3物件を「セットで」

 その物件の収支は、購入直後から毎月3万円ほどの赤字となり、自分で穴埋めしていた。同じ業者が次の物件を紹介してきたのは3年後。Dさんの年収が800万円を超えたのがきっかけだった。

 業者は「スルガ銀行ならその年収の20倍まで融資できます」と説明し、シェアハウス「かぼちゃの馬車」の購入を勧めてきた。東京都内の下町に建築する物件で、価格は8860万円と言われた。ただし、業者は「マンション2物件をセットで買ってもらいます」と言い出した。ワンルームマンション2物件、合計約4200万円をシェアハウスと同時に買うことが条件の、“抱き合わせ販売”だった。

 今度はスルガ銀行の二子玉川支店が融資するという。3物件で合わせて約1億3000万円になる。東京支店から借りた分と合わせると借金は1億6…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。