ニッポン金融ウラの裏

「忘年会自粛が広がったら!?」飲食店やタクシーの不安

浪川攻・金融ジャーナリスト
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新橋駅周辺の繁華街=東京都港区で2020年9月15日午後6時11分、長谷川直亮撮影
新橋駅周辺の繁華街=東京都港区で2020年9月15日午後6時11分、長谷川直亮撮影

 今年は忘年会シーズンが訪れるのか――。10月も中旬に差し掛かって、金融業界ではそんな話が交わされるようになっている。金融機関の融資先である飲食業やタクシー業界の事業意欲に直結しそうだからだ。

 「我々の主要取引先でもある飲食業の経営者の気持ちをそぐことにならないといいのだが……」

 東京都内のある信用金庫の職員は厳しい表情を浮かべながら、こう説明する。「飲食店は忘年会シーズンが稼ぎ時。もし、忘年会の自粛が広がると、これまで頑張ってきた気持ちが折れて廃業に向かう事業者が増えそうだ」

 多くの飲食業で3月以降の売り上げは激減している。ここにきて、若干客足が増えたとはいえ、前年に比べると大きな落ち込みが続いていることに変わりはない。

 東北地方のある地銀関係者も「『Go Toキャンペーン』の効果は限定的だ。年末にかけて老舗の料亭などを含めて飲食業の廃業増大が懸念される」と心配顔でいる。

申請しても届かない家賃支援給付金

 飲食業にとって、仕入れ代金もさることながら、家賃負担が重たいが、政府の家賃支援給付金を申請してもなかなか実行されない状況が改善されずにいる。そのため、支給された持続化給付金が減ってギリギリだという事業者が少なくない。そのうえ暮れの稼ぎ時が空振りだったら、事業者が受ける精神的なショックは計り知れない。

 飲食業だけではない。たとえば、タクシー業界の打撃も大きい。中堅クラスのタクシー会社に勤める中年男性は「水揚げが激減して、現在、手取り収入は1カ月で15万円にも満たない」という。「時給換算すると、コンビニエンスストアのパートで働いたほうがいいと仲間内で話している」とぼやく。

 別…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。