経済記者「一線リポート」

役員が率先垂範?「パソナの淡路島移転」は成功するか

土屋渓・毎日新聞経済部記者
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パソナグループの兵庫県淡路島のワーキングスペースで仕事をする社員=同社提供
パソナグループの兵庫県淡路島のワーキングスペースで仕事をする社員=同社提供

 人材派遣大手のパソナグループが東京都内の本社機能の3分の2を兵庫県の淡路島に移転すると9月に発表し、世間を驚かせた。新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークを導入する企業は急増したが、本社機能の分散に踏み出す大手はまだ少ない。大企業の地方移転は東京への1極集中の緩和も期待できそうで、パソナの挑戦が注目される。

 パソナは2023年度末までに、東京都千代田区の本社で働く財務経理や広報、総務、新規事業開発、IT部門など約1800人の社員のうち、7割近い約1200人が淡路島での勤務となる。

 来年春までに、まず約400人を異動させる。数カ所のオフィスや住居の建設も予定している。新型コロナを機に働き方改革を進めるとともに、災害時に事業を継続させる観点からも拠点の見直しが必要と判断したという。

 政府の緊急事態宣言とともに、パソナでは多くの社員がテレワークとなった。役員もリモート会議で経営判断する必要に迫られたが、「意外と滞りなくできる」という認識が広がったという。

 関係者によると、それまでは「テレビ会議より顔を合わせて話をしましょう」という風潮だったが、「リモートワークに対する心の壁が取っ払われ、分散しても業務はできるという確信が生まれた」という。

 パソナは08年から淡路島で農業や産業の活性化に取り組む事業を開始。テーマパークや劇場、レストランなどを開業しており、本社機能の移転先に選ばれた。既に南部靖之代表ら役員の4割は淡路島で仕事をしており、9月から経営会議や取締役会も島で開催している。

 新型コロナで多くの企業でテレワークが急増しているのは確かだ。でも、パソナのように東京都心からのオフィス移転に…

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土屋渓

毎日新聞経済部記者

 1977年、ドバイ生まれ。2002年早稲田大法学部卒、毎日新聞社入社。水戸 支局、東京本社学芸部などを経て14年から経済部。証券業界、日銀を担当。16~17年 は大阪本社経済部で電機メーカーなどを取材。18年に東京経済部に戻り、経産省など を担当。20年4月から製造業、商社・流通、重工業、財界などを取材するグループの キャップ。