高齢化時代の相続税対策

持て余し「築50年マンション」節税で意外な活用法

広田龍介・税理士
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 高度成長期の1960~70年代、大都市圏では急速に開発が進み、商業ビルやマンションの建設ラッシュが起きた。約半世紀が過ぎた今、それらのビルやマンションは老朽化し、建て替えやリフォームが迫られている。

老朽化ビルのオーナー「売却の決断」

 資金力のあるオーナーなら建て替えることもできるだろうが、そうでない場合は売却やリフォームのいずれかを選ぶ。だが、リフォームとなると入居者やテナントの一時立ち退きに時間や費用がかかる。そのため、多くのオーナーは売却の方向で検討する。

 これには相続や事業承継の事情も絡んでいる。老朽化した建物は、オーナーも高齢になっている。オーナーに万一のことがあり、その子が相続や事業承継でビルやマンションを引き継げば、将来は建て替えの問題に直面するだろう。親であるオーナーは、借入金を抱え、その返済リスクを背負うような苦労を子にはさせたくない。そこで売却を決断する。

 だが、老朽化した建物を売り、その売却資金を持ち続けていれば、多額の相続税の対象となる。相続対策を考えるなら、その資金でまた別の不動産を買うことが節税になる。こうして「資産の組み替え」をする動きが進んでいるのだ。

 では、売却された建物はその後どうなるのか。実は、足元で、その動きに変化がみられる。

 これまでは、新しい所有者は、老朽化した建物を取り壊し、そこに新たなビルやマンションを建設し、売却や分譲をすることが多かった。しかし、最近は、建物をリフォームして売却するケースが増えている。

禁じられた「海外中古不動産」節税策

 なぜだろうか。これには、2020年度税制改正で、海外の中古不動産を活用する節税対策が…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。