産業医の現場カルテ

45歳会社員「週3回の人工透析」で仕事を続ける方法

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 戸田さん(仮名、45歳男性)は、あるメーカーの総務部門で働いています。この2カ月ほど持病が悪化して休職をしていましたが、先日「復職したい」という連絡が会社にあり、この会社の産業医を務める私が事前に面談をすることになりました。戸田さんの診断書には「慢性腎不全で透析を導入する」と記されていました。

慢性腎炎が急に悪化

 戸田さんは、高校生のころに血尿などが長期間続き、慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)と診断されました。それ以降、腎臓機能の悪化を予防するために薬物治療を続け、食事にも細心の注意を払ってきました。

 しかし、数カ月前から急に慢性腎炎が悪化しました。面談では「これまで予防できていたので、主治医から人工透析の導入が必要と言われたときは落ち込みました。ただ、透析を受けると体が楽になり、仕事もできると思いました」と話しました。

 体内の老廃物や毒素は血液で腎臓に運ばれ尿として排出されます。しかし、腎臓の機能が低下した人は老廃物や毒素を排出できなくなり、専用の機械を使用して血液をろ過する必要があります。この治療を人工透析といいます。一般的には、週3回通院し、1回4~5時間の治療が必要です。

有休の時間単位取得で対応

 戸田さんも透析を週3回受けることになりました。当初は体調が不安定だったそうですが、1カ月…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。