藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

リガで知る「百万本のバラ」に込めたラトビア人の魂

藻谷浩介・地域エコノミスト
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聖ペテロ教会の尖塔(せんとう)からリガ旧市街とダウガバ川を眺める(写真は筆者撮影)
聖ペテロ教会の尖塔(せんとう)からリガ旧市街とダウガバ川を眺める(写真は筆者撮影)

バルト3国編(4)

 バルト3国の真ん中に位置するラトビア。IT立国で鳴らす北隣のエストニアに比べれば、経済発展は遅いが気候風土に恵まれており、首都リガの旧市街地には「ドイツよりもドイツらしい」と言われる、世界遺産の美しい街並みが広がっていた。しかし逆に考えれば、ラトビア独自の、ラトビアならではのものとは何なのだろうか。

どこまでも美しいドイツ風の街

 リガ大聖堂と並んでリガ旧市街を代表するのが、聖ペテロ教会だ。内装は大聖堂よりさらに簡素だが、付属する尖塔(せんとう)の、高さ72メートルにある展望台まで、エレベーターで昇ることができる。

 快晴の市街地を見下ろす展望は、欧州各地の類似の展望所から見る街の中でも、特に印象に残る美しさだった。旧市街地には近代的なショッピングセンターも紛れ込むように建設されているが、外観ではわからないようになっている。

 ラトビアも旧ソ連の他の国と同様に車社会化が進んでいるが、旧市街地の南北1.5キロ・東西1キロほどの範囲は基本的に車が入ってこないように設計されており、市電やバスも通らず、歩行者天国となっていた。中でもリーブ広場では多くの部分に芝生が張られ、石畳だけの広場が多い他の都市とは違った、柔らかな雰囲気を醸し出している。

 聖ペテロ教会の横には、グリム童話のブレーメンの音楽隊に出てくる動物たち(ロバ、犬、猫、鶏)の銅像があって、撮影スポットになっている。同じハンザ同盟都市だった姉妹都市のブレーメン(ドイツ)から贈呈された。

 同じく撮影スポットになっている建物が「猫の家」だ。屋根に何匹かの猫の優美な銅像が乗っている洋館で、裕福なラトビア人商人の屋…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。