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バイデン大統領誕生なら「環境政策」こんなに変わる

小西雅子・WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター
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米大統領選でバイデン氏支持の市民たち=米中西部オハイオ州アシュランドで10月17日、國枝すみれ撮影
米大統領選でバイデン氏支持の市民たち=米中西部オハイオ州アシュランドで10月17日、國枝すみれ撮影

 未曽有のコロナ禍の中で、アメリカ大統領選挙が11月3日に迫りました。スウェーデンの若き環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが「民主党のバイデン候補を」と異例の呼びかけをするほど、世界中の環境NGOや科学者たちは固唾(かたず)をのんでアメリカ大統領選を注視しています。

 もしトランプ大統領が再選されれば、引き続き化石燃料を促進する施策を継続し、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から完全に離脱することになります。一方、もしバイデン大統領が誕生したら、アメリカの温暖化対策はがらりと変わるでしょう。

意外と知られていない選挙公約

 日本ではあまり知られていませんが、バイデン氏は選挙公約の中で、大統領となった初日にパリ協定に戻ると明言しています。アメリカが2050年に二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにし、100%クリーンなエネルギー社会を達成するとも明記しています。アメリカは世界のCO2排出量の14.5%を占める世界第2位の排出国です。

 50年に排出量をゼロにする目標とは、産業革命前と比べた地球の平均気温の上昇を、パリ協定の長期目標の2度ではなく、さらに野心的な1.5度に抑えることができるレベルです。産業革命前と比べ、既に世界の平均気温は人間活動で約1度上昇しています。

 これは温暖化の影響による海面上昇などで国土消失の危機にさらされている小さな島国連合やアフリカ諸国等が渇望しているものです。今のところ、欧州連合(EU)を中心とした30カ国程度しか掲げていない最も野心的な目標です。

 そこへ大国のアメリカが加わることになると、世界の温暖化対策は一気に進展することになるでしょう。

「歴…

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小西雅子

WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター

 神戸市生まれ。米ハーバード大修士課程修了、法政大博士(公共政策学)。中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005年に国際NGOのWWFジャパンへ。地球温暖化防止の国際交渉などで施策提言を行う。15年から昭和女子大特命教授を兼務する。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会街づくり・持続可能性委員会委員、環境省中央環境審議会委員なども務めている。