地域で光る小さな会社

「料理道具の聖地」浅草合羽橋の店が貫く“こだわり”

櫻田弘文・クエストリー代表取締役
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飯田屋6代目店主の飯田結太さん=筆者提供
飯田屋6代目店主の飯田結太さん=筆者提供

 東京・浅草にほど近い合羽(かっぱ)橋道具街(台東区)は、調理器具や食器など飲食業のプロ向け商品がそろう問屋街として1910年代から栄えてきた。現在は170店ほどが軒を連ねる。その中に、多品種展示と少量在庫で提案型の対面販売を行い「料理道具の聖地」と呼ばれる「飯田屋」がある。

 同店は左利き専用のフライ返しや片口鍋、容量が1cc刻みで異なる「おたま」などを取りそろえる問屋で、小売りもしている。ありそうでなかった道具が店内に数多く並び、お客の困りごとを解決したり、要望に応えたりしている。6代目店主の飯田結太さん(36)は「料理道具のスペシャリスト」としてテレビやラジオなどにたびたび出演している。

 飯田屋は仕入れた商品を販売するだけではない。自ら開発したオリジナル商品である皮むき器「エバーピーラー」は、2020年度のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)を受賞した。飯田さんが200種類以上の皮むき器を使い比べ、5年の歳月をかけて軽さと切れ味を実現したひと品だ。

 飯田さんは、同店が「喜ばせ業」だと語る。自分で仕入れるすべての商品を試して、店舗を訪れる顧客一人一人に使い心地を正直に伝えている。

価格競争で気づいたこと

 同店は現在の場所で1912年に創業した。当初は建具屋だったが徐々に料理道具を扱い…

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櫻田弘文

クエストリー代表取締役

1955年山梨県生まれ。日本大学卒業後、78年に販売促進の企画・制作会社に入社。2001年、クエストリーを設立して独立。中小企業経営者向けの「クエストリー・ブランディングクラブ」を主宰する他、数多くの専門店や飲食店のブランディングを実践的に指導している。