冨山和彦の「破壊王になれ!」

破壊なくして創造なし 腹をくくって日本的経営に決別を

冨山和彦・経営共創基盤グループ会長
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数々の企業の再建を手がけてきた冨山和彦さん=東京都千代田区で2017年12月1日、中村藍撮影
数々の企業の再建を手がけてきた冨山和彦さん=東京都千代田区で2017年12月1日、中村藍撮影

 日本企業は世界経済を席巻した1990年ごろをピークに、そのプレゼンスが長期にわたって低下を続けている。欧米企業と比べてもその衰退ぶりは顕著だ。

過去の成功モデルの呪縛

 2000年代前半、産業再生機構において、日本最大の民間企業だったカネボウ、小売業日本一だったダイエーの再建に取り組んだ時に痛感したのは、過去の成功モデルの呪縛の強固さだった。

 紡績業から電機、自動車への基幹産業シフトや、大型総合量販店からコンビニエンスストアへの業態シフトといった環境変化がかつての「覇者」の衰退の背景にあったが、例えばカネボウは化粧品事業への多角化に大成功していたし、ダイエーもローソンを展開してコンビニ業界の成長の波に乗りつつあった。

 真の問題は、そこで「祖業」を捨てられず、その延命のために伸び盛りの成長事業を犠牲にしてしまったことだ。カネボウは繊維事業の赤字補塡(ほてん)で化粧品事業が疲弊し、ダイエーは虎の子のローソン事業を売却してしまう。

成長事業へのシフトに失敗

 昨年、早稲田大の入山章栄教授と私が日本に紹介した「両利きの経営」(C・オライリー、M・タッシュマン共著)がロングセラーとなっている。

 同書は、破壊的イノベーションの時代の経営テーマは既存事業の「深化」と新しい事業や事業モデルの「探索」の両立にあり、実は多くの失敗は、探索領域が成長期に入った時に、先が見えた既存事業から成長事業へと思い切り資源をシフトできないことで起きると指摘している。

 これを日本企業全体に当てはめると、ジャパン・…

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冨山和彦

経営共創基盤グループ会長

 1960年生まれ。東大法学部卒。在学中に司法試験に合格。米スタンフォード大経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループなどを経て、政府系企業再生ファンドの産業再生機構の最高執行責任者(COO)に就任し、カネボウなどを再建。2007年、企業の経営改革や成長支援を手がける経営共創基盤(IGPI)を設立し最高経営責任者(CEO)就任。2020年10月よりIGPIグループ会長。