藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ビリニュス「バルト3国で最も耽美的」な首都の誘惑

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ビリニュス旧市街はグラマラスなデザインの建物で埋め尽くされている(写真は筆者撮影)
ビリニュス旧市街はグラマラスなデザインの建物で埋め尽くされている(写真は筆者撮影)

バルト3国編(5)

 バルト3国の一番南にあるリトアニアは、人口規模でも、歴史上の存在感でも、3国の中では長男坊格だ。その首都ビリニュスは、人口ではラトビアの首都リガに譲るが、世界遺産の旧市街地の広さは欧州でも屈指である。その街頭を歩いて感じた、3国が三つに分かれている必然とは。

小さくても3カ国に分かれている理由

 2016年8月末。ベラルーシの首都ミンスクを歩き回った筆者は(「侵略され続けた街『ミンスク』で藻谷浩介が思ったこと」参照)、夕方の便でビリニュス空港まで飛んだ。真っ平らな森の上を所要時間50分だが、この間に「欧州最後の独裁国家」とも言われるベラルーシから、EU(欧州連合)加盟国のリトアニアへと国境を越える。ここからは、欧州内を自由に移動でき、通貨ユーロが通用する世界だ。

 ビリニュスはミンスクから西北西に180キロ余りで、ミンスクを東京・新宿とすれば長野県茅野市の位置に当たる。ミンスクを大阪・梅田とすればビリニュスは鳥取市の位置だ。近いうえに同じ平原続きである。

 歴史的にも、ベラルーシとリトアニアは似ている。13世紀からはリトアニア大公国、18世紀末からはロシア帝国に属してきた。しかしベラルーシ語がロシア語やポーランド語同様にスラブ系なのに対し、リトアニア語はバルト系だ。

 バルト系についてはリガの記事でも書いたが(「ラトビア首都リガ『バルト海の真珠』に隠された歴史」参照)、印欧語族の古い形を残す言語で、現在はラトビア語とリトアニア語しか残っていない。そのリガとビリニュスの間も300キロ弱と、日本で言えば東京と新潟、あるいは大阪と金沢程度しか離れていないうえ、やはり…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。