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定年後の再雇用「収入ガタ減り」を補う給付金の仕組み

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 会社員のA郎さん(58)は、60歳の定年退職後も働き続けたいと考えています。ただ、継続雇用の場合は給料がかなり下がりそうです。給料はどうなるかわかりませんが思い切って転職するかどうか迷っています。老後のマネープランについても聞きたいと、私のところに相談に来ました。

60歳定年後に働く人を後押し

 老後の資金計画は、60歳以降の働き方で大きな違いが出ます。A郎さんのように60歳定年を控える人に知っておらいてもらいたい制度があり、私はそれについて話しました。

 その制度は高齢者の働く意欲や能力に応え、公的年金の支給開始年齢である65歳に達するまでの雇用を援助し、促進するための「高年齢雇用継続給付」です。60歳時点や再就職前の賃金と比べて低下率75%未満になったなど一定の条件を満たす場合、雇用保険から給付金が支給されます。ただし、年金を受け取っている場合は給付金の額に応じて、年金の一部が支給停止されます。

 高年齢雇用継続給付は2種類あります。一つは、雇用保険の基本手当(失業手当)を受給せずに働き続ける人に支給される「高年齢雇用継続基本給付金」です。もう一つは、失業手当の受給後、再就職した人に支給される「高年齢再就職給付金」です。

 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳までに働いた期間(被保険者期間)が5…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。