熊野英生の「けいざい新発見」

意外に安い「芸能人とスポーツ選手年収」コロナ影響は

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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大規模イベントの入場制限緩和に向け、プロ野球のDeNA-阪神戦で実証実験が行われた横浜スタジアム=2020年11月1日、本社ヘリから幾島健太郎撮影
大規模イベントの入場制限緩和に向け、プロ野球のDeNA-阪神戦で実証実験が行われた横浜スタジアム=2020年11月1日、本社ヘリから幾島健太郎撮影

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、最も経済的打撃が大きかった職業は何だろうか。おそらく、芸術、芸能、スポーツなど、多くの人の前で、自分の作品やパフォーマンスを披露する職業の人ではないか。

 筆者も、経済分析に関する講演会を多数行っているが、3~8月は“全滅”だった。少しずつ再開された今でも、依然として回数は増えてこない。

芸能人の平均年収は231万円

 芸能人やスポーツ選手と言えば、派手なイメージで、テレビ番組に出演して高額のギャラを得ている姿が思い浮かぶ。ただ彼らの生活実態は、一般の人にはほとんど知られていない。

 そこで、国税庁統計年報(2018年度)を基に、確定申告をしている芸術家、芸能人、スポーツ選手の人数、平均所得、所得分布を調べてみた。統計上の分類は「文筆、作曲、美術家」「芸能関係者」「職業選手、競技関係者、職業棋士」となっているが、本稿では、この分類を「芸術家」「芸能人」「スポーツ選手」と呼ぶことにした。

 まず人数は、芸術家11万5371人▽芸能人5万9171人▽スポーツ選手1万8640人――である。スポーツ選手は意外に少なくて、芸能人の3分の1だ。これらは、18年度に確定申告をした人数であり、源泉徴収の給与所得者は入っていない。

 また、彼らの総所得を人数で割って求めた平均年収は、芸術家215万円▽芸能人231万円▽スポーツ選手661万円――である。スポーツ選手の中には、もしかすると競技に参加するほかに、レッスンプロなどでより多くの収入を得ている人も含まれているかもしれない。

 所得分布は、年収70万円以下の割合が、芸術家34.9%▽芸能人41.7%▽スポーツ…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。