産業医の現場カルテ

冬は特に注意「ノロウイルス感染」職場でできる対策

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 産業医である私は先日、食品メーカーの工場で衛生管理者を務める中西さん(40)から相談を受けました。「これからの冬の時期はノロウイルスによる食中毒が流行します。気をつけるよう従業員に伝えていますが、対策を徹底するためにも工場でお話をしてもらいたいです」と言います。今回は、ウイルス感染症への現場の対策についてみてみます。

症状があれば休ませる

 食中毒などを引き起こす感染性胃腸炎は主に冬季に流行し、ノロウイルスは原因の代表格です。ノロウイルスに汚染されたカキなど二枚貝を十分に加熱せずに食べたり、調理者を通じて食品が汚染したりすることで感染し、嘔吐(おうと)や下痢などの症状が出ます。十分に加熱することが感染予防につながります。また、食品を調理する場合、手や指に付いたウイルスから感染が広がる可能性もあるので、丁寧な手洗いも重要な対策の一つです。

 食品を扱う工場では、従業員がノロウイルスに感染し、その人が扱った食品を消費者が口にすることで感染が広がる可能性があります。そうなれば、会社は信頼を失いかねません。嘔吐や下痢の症状がある従業員は休ませるなどの対応をすることが大切です。

 冬はノロウイルスなど感染性胃腸炎の流行期であるため、特に衛生管理に気を配る必要がありますが、冬以外の季節でも起こる場合があるこ…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。