経済記者「一線リポート」

「半沢直樹」も描いた金融庁検査の世界 菅政権がメス?

安藤大介・毎日新聞経済部記者
  • 文字
  • 印刷
金融庁(左)の検査と日銀(右)の考査は金融機関にとって二重の負担になっているという
金融庁(左)の検査と日銀(右)の考査は金融機関にとって二重の負担になっているという

 「行政の縦割り打破」を掲げる菅政権が金融の世界にもメスを入れようとしている。標的となっているのは、ドラマ「半沢直樹」で有名になった金融庁検査だ。

 銀行などの金融機関に金融庁が実施する検査と、日銀が実施する日銀考査が、金融機関にとっては二重の負担になっているとして一体的に運用するよう改革するという。その狙いや背景は何なのだろうか。

金融庁と日銀の「二重」行政

 「半沢直樹でも黒崎検査官が銀行に乗り込んでいたが、日銀の考査と金融庁の検査が二重に行われると金融機関にも負担になる。共有できるデータは共有する必要がある」

 河野太郎行政改革担当相は10月20日の記者会見で、ドラマで半沢を厳しく追い詰めた黒崎検査官の名を挙げ、改革の必要性を強調した。

 金融庁検査は、金融機関が健全で適切な業務運営をしているか、定期的に確認するものだ。専門職員である検査官が、各金融機関の経営やリスク管理態勢、法令違反の有無などを調べる。

 金融機関の不良債権問題が注目された1990年代後半から2000年代の検査は厳しく、ドラマなどの題材にもなってきた。当時を知る銀行幹部は「支店長が長時間立たされ、厳しく追及された」と、金融庁の高圧的な検査ぶりを「黒崎検査官」に重ねて振り返る。

金融庁の手法は変わったが

 その後、金融機関の財務状況の改善とともに金融庁の検査手法も変わった。近年では金融機関自身が経営リスクなどの課題に気付くための対話に重きを置き、高圧的な手法は取られなくなっているという。

 一方の日銀考査は、金融機関が資金不足に陥った場合に「最後の貸手」となる中央銀行が、平時から金融機関の経営状況を把握する必要性から…

この記事は有料記事です。

残り878文字(全文1575文字)

安藤大介

毎日新聞経済部記者

 1977年、愛知県生まれ。慶応大経済学部卒。2002年、毎日新聞社入社。大阪本社経済部などを経て、14年から東京本社経済部。エネルギー業界や日銀、民間企業、経済産業省などを担当。18年から津支局次長。20年10月から東京経済部で日銀、証券、金融庁の取材を束ねるキャップ。