高齢化時代の相続税対策

85歳で逝った父「貸金庫」に預けていた“大事なもの”

広田龍介・税理士
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 「大事なもの」はどこに保管しておけばいいだろうか。自宅に金庫を持つ家庭も多いが、地震や火災などの災害や盗難などに遭うリスクがある。それを回避できる安全・安心な場所といえば、銀行の貸金庫だろう。使う頻度が高いものは自宅金庫に置き、そうでないものは貸金庫に預けるというのが一般的なようだ。

「ペイオフ解禁」で利用が増加

 それでは、銀行の貸金庫に保管する大事なものとはいったい何だろうか。人によってさまざまだろうが、実印▽現金▽不動産等の権利証▽不動産の売買契約書▽生命保険契約書▽貸付証書▽金▽宝石▽貴金属▽コレクション▽保証書▽記念硬貨――などが多いようだ。

 貸金庫の利用は増加傾向にあるという。その要因の一つとされるのが、金融機関が破綻した場合、預金者1人当たり元金1000万円までとその利息のみの上限を設けて払い戻しを保証する「ペイオフ制度」だ。

 バブル崩壊後の金融不安で政府が一時、制度を凍結したが、2002年に凍結を解除したことから、預金を引き出して、自宅にタンス預金として保管したり、銀行の貸金庫に保管したりする動きが進んだとされる。

 貸金庫に何を入れているのかはもちろん、貸金庫を利用していることを秘密にしていることは珍しくない。そうなると、本人が亡くなっても、相続人は貸金庫に気がつきようがない。相続税の申告のため、亡くなった人の預金通帳を確認し、貸金庫の使用料が自動引き落としとなっているのを見つけて、初めてわかったということもしばしばある。

父が預けていたものは…

 東京都に住むAさん(62)の同居する父親が85歳で亡くなった。相続人はAさんと姉と弟の計3人だ。

 父親は自宅の最…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。