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大学費用にローン残も…継続雇用で不安な59歳会社員

井寄奈美・特定社会保険労務士
 
 

 A雄さん(59)は、従業員数約100人の精密部品製造会社で働いています。今年12月で60歳になり定年を迎えます。定年でいったん退職した後も継続雇用され、65歳まで嘱託社員として勤務できますが、給料が大幅に減ります。A雄さんは、今後の生活に不安を感じています。

継続雇用の生活に不安

 A雄さんは9月に面談があり、継続雇用を希望するかどうかを聞かれ、労働条件の提示を受けました。担当業務は同じです。ただ、給料は会社の慣例に従い基本給が3割程度減り、役職がなくなるため「役職手当」もなくなります。

 定年のタイミングで退職金が支給されます。しかしA雄さんは中途入社のため、それほど大きな額ではありません。

 A雄さんは子が2人いて、下の子は大学生です。妻もパートとして働いていますが、住宅ローンも残っています。大幅に給料が減るため、厳しい生活になると感じています。

給料大幅減の仕組みは限界?

 定年後の再雇用について考えます。企業は、従業員の65歳までの雇用を確保する措置を講じるよう高年齢者雇用安定法で義務づけられています。具体的な方法は、65歳以上への定年の延長▽定年の廃止▽65歳までの継続雇用制度の導入――の三つです。いずれかを選択しなければなりません。

 厚生労働省の「高年齢者の雇用状況」の集計結果(20…

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特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/