身近なデータの読み方

「妊娠にためらい」コロナ禍で日本と欧米で出生数減へ

篠原拓也・ニッセイ基礎研究所主席研究員
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 新型コロナウイルス感染症の影響については、感染者数や死亡者数の日々の推移に目が向けられがちだ。一方で、将来的な人口の推移を左右する出生数への影響も出始めている。厚生労働省の発表によると、5月以降、全国の妊娠届が減少しているという。少子化がさらに加速する恐れもある。今回は、コロナ禍と出生数についてみていこう。

前年比11.4%の減少

 新型コロナの流行は、妊娠・出産を考えるカップルに影響をもたらしている。厚生労働省は、全国の妊娠数の実態を把握するために緊急調査を行った。

 通常、医療機関で妊娠の診断を受けた女性は、市区町村の窓口で母子手帳を受け取る際、妊娠届を提出する。調査では、全国の自治体が1~7月に受理した妊娠届の件数を集計し、これを前年までと比較している。

 調査によると、1~7月の妊娠届の合計件数は51万3850件で、前年同期に比べて5.1%減、一昨年の同期に比べて8.7%減だった。月別に見ると、5月以降の減少が顕著だ。前年の同じ月に比べて、5月は17.1%減、6月は5.4%減、7月は10.9%減だ。5~7月の3カ月では、前年比11.4%の大きな減少となった。

 妊娠届は、妊娠11週以内に提出されるケースが多い。国内で感染が広まり始めた3月ごろから、影響が出ていたことがうかがえる。

感染リ…

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篠原拓也

ニッセイ基礎研究所主席研究員

1969年、東京都生まれ。早稲田大理工卒。92年、日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスクの評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に「できる人は統計思考で判断する」(三笠書房)がある。