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トランプ氏が送り込んだバレット新判事「異色の経歴」

古本陽荘・毎日新聞北米総局長
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米連邦最高裁の判事に就任したエイミー・コニー・バレット氏(右)。左はトランプ米大統領=2020年10月26日、AP
米連邦最高裁の判事に就任したエイミー・コニー・バレット氏(右)。左はトランプ米大統領=2020年10月26日、AP

 米連邦最高裁のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の死去に伴い、後任の人事案が上院で承認され、エイミー・コニー・バレット判事が就任した。女性の権利向上に大きく貢献したリベラルなギンズバーグ氏に対し、敬虔(けいけん)なカトリック教徒であるバレット氏は保守的な価値観を持ち、2人は対照的だ。

 保守派判事を最高裁に送り込むことを成果として掲げたかったトランプ大統領と与党・共和党の政略から、大統領選直前の、異例の「駆け込み承認」となった。

経歴も異例ずくめ

 ただ、バレット氏自身の経歴も異例ずくめだ。家族は夫と、ハイチ系の養子2人を含む子ども7人。最年長のエマさんは19歳の大学生で、最年少は8歳のベンジャミン君。48歳と若く、子育てをしながらの最高裁勤務となる。

 出身法科大学院は、カトリック系のノートルダム大。3年前に連邦控訴裁判所の判事に就く前は、母校の教授を務めていた。最高裁判事は東部の一流校「アイビーリーグ」の出身者が圧倒的に多い。現在もバレット氏を除いた最高裁判事8人の出身法科大学院は、ハーバード大4人、エール大4人だ。ノートルダム大からの最高裁判事は初めてだ。

 それ以上に注目を集めたのが、バレット氏の宗教的な背景だ。近年の共和党はキリスト教右派との関係が深い。キリスト教右派とは、一般的には、プロテスタント系の中で原理主義的な「福音派」として分類される複数の宗派を指す。

 だが、カトリック保守の影響力も大きく、福音派とは人工妊娠中絶に反対する立場などで親和性が高い。カトリック保守のバレット判事の誕生に、福音派の共和党支持層も沸いている。

実態不明な団体のメンバー

 さらに、バレット…

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古本陽荘

毎日新聞北米総局長

1969年生まれ。上智大文学部英文科卒、米カンザス大大学院政治学修士課程修了。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)。