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「テスラには負けない」トヨタ社長が語るリアルの強み

今沢真・経済プレミア編集部
決算会見を行う豊田章男社長(中央)らトヨタ自動車の経営陣
決算会見を行う豊田章男社長(中央)らトヨタ自動車の経営陣

トヨタ自動車の中間決算会見(下)

 トヨタ自動車が11月6日に行った2020年9月中間決算会見で、豊田章男社長に対し、電気自動車(EV)大手の米テスラについて「業績が非常に堅調だがどう思うか」との質問があった。豊田社長は「株式市場の評価はテスラに完全に負けている」と認めつつ、「電動化のフルラインアップメーカーとしては我々が一歩先だ」と述べ、対抗心をむき出しにした。

時価総額では大きな差

 記者からの質問に豊田氏がまず取り上げたのは時価総額だった。「株式市場ではテスラは約40兆円で、トヨタと日系自動車メーカー7社の時価総額を合わせても33兆円。テスラは日本勢の合計よりも大きな企業価値を生んでいる」と指摘し、劣勢を認めた。

 実際、テスラの株価は今年に入り“うなぎ登り”に急騰を続けている。7月に21兆円台だったトヨタの時価総額を追い抜き、直近では40兆円台と、トヨタの2倍前後になっている。環境対応や次世代技術への期待から投資マネーが流れ込んでいるためだ。

 こうした点を踏まえ、豊田氏は「テスラはEVで利益を出し、ソフトウエアのアップデートでも収益を上げている。CO2(二酸化炭素)低減を進めるなど、彼らのやっていることは非常に学べる点がある」と評価した。

CASEへの対応

 一方で豊田氏が自信を見せたのは「CASE(ケース)」への対応だ。CASEは自動運転や電動化など、車の世界で進む技術革新を指す。「トヨタはこの3年間、相当の先行投資を続けている」とし、一例として、自動運転車の先進的な開発手法に重点的に投資を行っていることをあげた。

 そして、「我々にあってテスラにないのは、1億を超える…

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経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。同9月から編集部総括。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。