産業医の現場カルテ

30代人事担当が産業医に教わった「過重労働の防ぎ方」

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 西野さん(仮名、30代女性)は、従業員数約120人の医療関連サービス会社の人事担当者です。最近、この会社の産業医になった私は、西野さんから、従業員の残業や健康管理について相談を受けました。

産業医の面接が必要なケース

 西野さんは「これまでは残業や健康管理の対応が十分にできていませんでしたが、働き方改革の流れもあり、しっかりやっていこうと思います」と前向きでした。

 そこで、まず、残業時間規制の動きから説明しました。

 残業時間に上限を設ける働き方改革関連法は2019年4月に大企業に適用され、20年4月から中小企業も対象になりました。月45時間、年360時間を超える残業は原則禁止となりました。

 臨時的で特別な事情があり、労使で合意した場合でも年720時間以内、単月で100時間未満、2~6カ月の複数月の平均で80時間以内としなければなりません。これまで労使が「特別条項付き36協定」を結べば無制限で残業できましたが、それが改まりました。

 また、長時間労働となった従業員の健康管理のため、医師による面接指導を強化しました。長時間労働は脳血管と心血管系疾患のリスクを高め、月80時間超の残業でリスクはさらに上昇するとされます。睡眠時間も削るため、疲労もたまりやすくなります。

 西野さんからは「面接はどのような…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。