MRJが世界を飛ぶ日

三菱スペースジェット「残されたチャンス」とは

平野純一・経済プレミア編集部
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スペースジェットの試験10号機=名古屋空港で2020年3月18日、兵藤公治撮影
スペースジェットの試験10号機=名古屋空港で2020年3月18日、兵藤公治撮影

どうなるスペースジェット(3)

 新型コロナウイルスの影響を受け、三菱重工業の泉沢清次社長はスペースジェットについて、「いったん立ち止まる」として開発の一時中断を決めた。

 三菱重工が2008年にMRJ(現在のスペースジェット)の開発を始めた時、同社はこれを将来の収益の柱に育てたいという思いがあった。と同時に、政府も日本の航空機産業をもっと大きくしたい考えがあった。

508億円の補助金を投入

 日本の製造業のトップバッターは自動車だ。自動車産業は62兆円の規模があるが、航空機産業は1兆8000億円にすぎない。しかし、自動車は電気自動車などエンジンを使わないクルマが徐々に増え、製造方法が容易になって、コストの安い途上国に生産の中心が移ってしまうのではという危機感があった。

 そこで政府は、日本初のジェット旅客機開発となるスペースジェットに計508億円(08~15年)の補助金を投じている。

 その内訳はこれまであまり報じられなかったが、一般会計から、空力特性に関する研究に212億円▽航空機の故障を事前に予知するシステムの研究に3億円が使われた。その他に、エネルギー対策特別会計から、炭素繊維複合…

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平野純一

経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。