経済プレミア・トピックス

孫正義氏が会見で冗舌「守りから攻め」に転じる理由

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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決算発表会見で笑顔を見せるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2020年11月9日、同社ホームページから
決算発表会見で笑顔を見せるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2020年11月9日、同社ホームページから

 ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長の決算会見は、何が飛び出すかわからない。11月9日の2020年9月中間決算の会見も、巧みな話術と演出で聴衆を引き込む「孫正義ワールド」は健在だった。

 「まだ世界のコロナの状況は収まっていない。難しい世の中であるが、私は最近ワクワクしている」

 決算会見の冒頭、孫氏は自信たっぷりにこう切り出した。一体、何にワクワクしているというのか。

「私の読みは正しい」

 会場の画面に登場したのは、約5000年前の古代エジプト人が馬に乗った遺跡の絵。孫氏は「人類は5000年も昔から馬で移動していた。自動車が普及して、たった100年。この自動車がAI(人工知能)を使って完全自動運転する時代が、あと数年で始まる」と、興奮気味に語った。

 ここで孫氏は一転、08年5月の決算会見の動画を流した。その中で若き孫氏は「モバイルインターネットを制する者がインターネットを制する。アジアを制する者が世界を制する」と力説。このセリフは私も聞き覚えがある。

 動画を流し終え、孫氏は「12年たって、あの時の読みは正しかった」と胸を張った。当時、孫氏はパソコンやガラケーからスマートフォンにビジネスをシフトし、中国のIT大手アリババなどへの投資を加速させ、今日のSBGを築いた。

守りから攻めへ

 「そして次の10年間は、AIを制する者が未来を制すると私は思っている。そこでSBGはAI革命の投資会社になる」と宣言した。

 孫氏は前回8月の決算会見で、武田氏の騎馬軍と織田信長の鉄砲隊が戦う映画のワンシーンを映し、「投資会社に生まれ変わった当社の防御とは現金だ。現金を用意することで守りを固める」と…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部