高齢化時代の相続税対策

「私が死んだら財産あげる」遺言に書くなら注意しよう

広田龍介・税理士
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 自分の財産を家族以外の人に託したいという人はいるだろう。その方法には主に「贈与」と「遺言」の二つがある。贈与は生前、遺言は死亡後に「財産を贈る」ことができる。だが、似ているように見えて、手続きや税務にはかなり違いがある。どの方法を選ぶかは、慎重に考える必要がある。

遺贈は「一方的な行為」

 違いとは、贈与は、財産を贈る人(贈与者)ともらう人(受贈者)が相対で交わす契約であるのに対し、遺言は、遺言を作った人(遺言者)の一方的な行為であるということだ。遺言を作るなら、もらう人の了承を得る必要はない。

 もちろん、財産を贈る人ともらう人の間で事前に話し合い、それを確実にするために遺言書を書くことは多いだろう。だが、法律上、遺言は、作った人の「単独行為」だけで完成する。遺言で相続人以外の人に財産を贈ることを「遺贈」と呼ぶ。

 問題は、この違いがあるため、贈与と遺贈では、相続人が受け取る印象が変わってくることだ。

 贈与は、財産を贈る本人が自分で財産の移転手続きを行うため問題は起こりにくい。しかし、遺贈となると、遺言を作った人はすでに亡くなっているため、「なぜ、身内でもない人に財産をあげなければいけないのか」と相続人が大騒ぎすることがある。このため、手続きに時間がかかる傾向がある。

 遺言書を作るときは、遺言の内容を実現するための手続きをする「遺言執行者」を選任することが多い。遺言執行者がその遺言書を示す場合、相続人と受贈者の全員を集め、内容を報告するのが通例だ。

 だが、相続人ら一族が集まる場に、見知らぬ受贈者がひとり同席することには、相続人が強く反発することもある。そうした場合、遺言執行人が…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。