経済記者「一線リポート」

シニア層が新たな顧客「リユース」がはやるワケ

土屋渓・毎日新聞経済部記者
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個人宅を訪問し、切手やコインを査定するバイセルテクノロジーズのスタッフ(右)=東京都内で同社提供
個人宅を訪問し、切手やコインを査定するバイセルテクノロジーズのスタッフ(右)=東京都内で同社提供

 古本販売のブックオフが顧客目線の店舗改革を進め、コロナ下でも業績が回復したという話を9月20日の本欄で書いた。リユース市場は、アマゾンやメルカリのように個人間の売買を仲介するのが全盛の時代だが、ブックオフのような店舗ビジネスにも、まだまだ可能性があることを紹介した。

 さらに取材を進めると、また一味違ったリユースのビジネスがコロナ下で伸びていることが分かった。

 東京都新宿区のオフィスビル。約100人のスタッフがひっきりなしにかかってくる電話の対応に追われている。ここは10月に取材で訪れたベンチャー企業「バイセルテクノロジーズ」のコールセンターで、個人宅を訪問して不要になった家財を買い取り、リサイクル業者などに販売する事業を2015年から手がけている。

 出張買い取りでは草分け的な存在で、ブックオフと違って店舗はほとんど持たない。その代わり、テレビCMやインターネットの広告に年間30億円を投じ、仕入れ先を広げている。

7割以上はシニア層

 コールセンターの電話は、広告を見た全国からの問い合わせだった。件数は昨年だけで27万件に上るという。社員は全体的に若手が目立つ。

 一方、電話をかけてくる人の7割以上は50代以上のシニア層だ。メーンの顧客層もブックオフやメルカリとは異なっている。高齢化が進む中、遺品・生前整理や自宅をすっきりさせたいというニーズが高まっているという。

 私の実家でも、70歳を過ぎた父が「食器棚を整理したい」と最近言うようになった。この食器棚は祖父が40年くらい前に家を改築する際に不要になり、捨てられそうになったのを父が引き取った代物。私も愛着があり、捨てるのはもったいないと…

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土屋渓

毎日新聞経済部記者

 1977年、ドバイ生まれ。2002年早稲田大法学部卒、毎日新聞社入社。水戸 支局、東京本社学芸部などを経て14年から経済部。証券業界、日銀を担当。16~17年 は大阪本社経済部で電機メーカーなどを取材。18年に東京経済部に戻り、経産省など を担当。20年4月から製造業、商社・流通、重工業、財界などを取材するグループの キャップ。